分身ロボット「OriHime」を知っていますか?
距離も障害も乗り越えて、行きたい場所に行けるもう一人の自分、
今回はそんなOriHimeと一緒に街歩きをした体験をご紹介したいと思います。
1.OriHimeって何だろう?
分身ロボット「OriHime」は株式会社オリィ研究所が開発した、「できる」を支援する使用者の分身になるロボットです。
「オリィ研究所」ホームページはこちら
https://orihime.orylab.com
子育てや単身赴任、入院など距離や身体的問題によって行きたいところに 行けない人のもう一つの身体、それが「OriHime」です。
出典:https://orihime.orylab.com/
「誰かの役に立つことをあきらめない」
「寝たきりで声を失っても会話できる」
「今の自分に合った働き方ができる」
OriHimeは、距離も障害も昨日までの常識も乗り越えるための分身ロボットです。
障害や病気により寝たきりになってしまい、外出の制限がある、働くことが出来ない、そんな方々がOriHimeに乗り込み(OriHimeを利用することを「乗り込む」と表現します)、企業や飲食店で従業員として活躍する姿を最近目にすることが多くなってきました。
そんな話題のロボットOriHimeと一緒に、今回iconavi編集部のtasukuが街歩き体験をすることとなったので、感想や街歩きの様子をレポートしたいと思います。
それでは行ってみましょう!
2.下北沢の街歩きスタート!
この街歩きのきっかけは、iconavi編集部tasukuが所属するヘルスケアのコミュニティで企画した「OriHimeを体験して、地域を再発見しよう」というものからでした。
新型コロナウイルスの影響で、対面での人との交流がいまだ制限がある中、オンラインの技術や生活スタイルは急速に進歩し、離れた場所にいてもオンラインで顔を合わせることが当たり前となり、もはや「距離」や「場所」という概念が曖昧に感じる機会が増えたように思います。
そういった中で改めて「地域」の境目、基準とは何なんだろう?と振り返ってみるために、この企画がスタートしました。
街歩きのメンバーは、作業療法士のtasukuの他に、医師、保健師、薬剤師と様々な職種の仲間で行います。
そして、OriHimeに乗り込むのは京都と名古屋という離れた場所にいるコミュニティのメンバーたち、OriHimeで距離を越えて、そこから見る景色はどのようなものか共有し合うことが一番の目的です。
小雨が降りしきる小田急線の下北沢駅で待ち合わせをして、早速OriHimeに電源を入れます。
名古屋にいるメンバーに乗り込んでもらい、街歩きがスタートしました。
OriHimeに人が乗り込むと目が緑色に光り、まるで命を宿したように首や手が動き出すのが印象的でした。
声は意外とクリアに聞き取ることが出来、私たちの言葉も少し離れていてもしっかりと聞き取ってもらえているようです。
そんなこんなで目的地へ、向かうは話題の商店街、下北沢BONUS TRACKです。
3.話題の「下北沢BONUS TRACK」へ
下北沢BONUS TRACKは、2020年の4月に開業したばかりの、「ローカル」「ソーシャル」「カルチャー」をテーマにした、個性的で素敵な店舗が軒を連ねる新たなスタイルの商店街です。
「下北沢BONUS TRACK」
https://bonus-track.net
OriHimeをメンバーが操作する感想を聞きながら歩いていると、あっという間に目的地に到着しました。
早速BONUS TRACKを散策です。
途中に立ち寄ったカフェで店員さんとOriHime越しに会話しております。
店員さんもびっくりしながら、笑顔で接客して下さいました。
BONUS TRACKの隣の敷地にはオシャレな保幼園もありました。
こうやって多世代が自然と交わるように工夫されている商店街作りに、感動を覚えます。
ちなみにOriHimeを操作している側からはどんな風に景色が見えるかというと、
こんな感じです。
しかも実はこのOriHimeの操作、名古屋のメンバーのお子さんが操作していたのです!
お子さんからは「ゲームみたいで面白い」という感想もあり、初見のお子さんでもすぐに適応できる、操作性の簡便さもOriHimeの特徴なのだと気づきます。
京都にいるメンバーにも操作を乗り換えてもらい、一通り商店街を回ったところで、お腹も空いてきたのでランチタイム、美味しい豚肉のコロッケが味わえる「恋する豚研究所」に入ります。
やはり物珍しい分身ロボットは店内でも注目を集め、特にお子さんの注目度はバツグンです。目をキラキラ輝かせながら、OriHimeと一生懸命コミュニケーションを取るお子さんの姿が印象的でした。
そんなこんなでランチタイムも終了、BONUS TRACKを後にし、無事OriHimeと一緒に時間を過ごす街歩きは終了しました。
4.距離を越えて、障害を越えて
今回OriHimeを実際に体験してみて、人型のロボットとの会話は慣れてくれば徐々に違和感は無くなり(電波によっては聞き取りづらい場面もありましたが)、距離を越えて話している相手がすぐ側にいるように感覚になることがふと何度もありました。
OriHimeに乗り込んだメンバーに聞いてみると、「持ってくれている人とか周りの人が側にいてくれる安心感みたいなものを感じる。みんなに可愛がられてる感がある」という感想がありました。
zoomなどのパソコン上越しでオンラインで繋いでもこうはいかないのだと思います。
無機質ではない、電波を通しても伝わるお互いの安心感みたいなものが確かにそこにあったのです。
新型コロナウイルスの影響で、私たちは対面での人との関わりの制限を抱えることになりました、物理的な距離の壁、これも障害と捉えることが出来ます。
テレワークやオンライン会議がもはやビジネスの主流となったコロナ禍において、OriHimeを使った打ち合わせや会議も取り入れられてきており、距離の制約だけでなく、人型の存在であることでの安心感といった心の制約もクリアすることが出来ていくことでしょう。
そしてOriHimeは外出が困難な様々な方に対しての、壁を乗り越える強い味方になり得る支援ツールであることを、身をもって実感することが出来ました。
この体験記事を通して、OriHimeのことを知りたい方、興味がある方への少しでも参考になれば幸いです。
今後もiconaviでは、様々な資源を紹介する体験記事、インタビューをお伝えしていきますのでお楽しみに!
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