【地域で移動を支え合う】地域支え合い型ドライバー養成研修とは

2021年12月21日〜23日にかけて、東京都町田市において「地域支え合い型ドライバー養成研修」が開催されました。地域住民で自分たちの「移動」を支え合う、そんな支援が出来たらという街ぐるみの取り組みです。その研修内で、iconavi編集部のtasukuが作業療法士として講師も務めましたので、今回はその概要をお伝えしていきます!

1.地域支え合い型ドライバー養成研修とは

昨今の超高齢化社会の進行にともない、高齢者のみで暮らす高齢者世帯は増加の一途を辿っており、加齢による身体機能の低下や移動手段の選択肢の減少、経済的な問題から「買い物難民・外出難民」は社会的な課題となっています。

各都道府県の自治体でも「買い物難民」に対する対策は大きなトピックとなっている中、今回東京都の町田市での取り組みとして「町田市地域支え合い型ドライバー養成研修」というものが開催されることになりました。

移動手段を必要としている坂道が多かったり、近くにバス停もない地域や、ドライバーを必要としている地域の自治会や生活支援団体、介護・障害関連事業所などの地域のニーズに対して、
今回の研修の参加者をドライバーとして養成・認定することで、地域の移動手段を支える担い手として活躍していってほしい、そういった思いから研修が開催されることとなっています。

今回で研修は2年目となり、昨年度誕生した20名近くの参加者の方々は、この一年で町田市の各地域で生活支援団体の送迎支援に関わったり、福祉有償運送のドライバーとなったりなど、町田の移動を支える担い手として活躍しています。

地域にある様々な交通・移動手段に関してのご紹介はこちら↓

研修は3日間に渡り開催され、感染対策を十分に取りながら、50代〜70代ほどの総勢20名近くの地域住民の方々が参加されました。

主催は町田市役所町田市社会福祉協議会、そして全国で住民主体の移動サービスの立ち上げを支援する、NPO法人 全国移動サービスネットワーク(全国移動ネット)や、福祉有償運送を行うNPO法人 町田ハンディキャブ友の会が協力し、iconavi編集部の作業療法士tasukuも講師として参加するなど、多方面からの視点の下、研修は行われました。

作業療法士tasukuは医療介護関連職として、高齢者や障害者の自動車運転リハビリテーションに関わっているため、そういった経験の下、「自己の運転に対する気付き」というテーマで、体験型の講義を行いました。

研修の様子

2.NPO法人 全国移動ネットの紹介

今回の研修を主に担当された「NPO法人 全国移動サービスネットワーク(略称:全国移動ネット)」は、移動サービスを提供している市民活動団体等が、連携して移動における共通の課題解決のため、いつでも、誰でも、どこでも出かけることのできる社会の実現を目的に発足した団体です。

NPO法人 全国移動ネットのホームページはこちら

私たちは、日常生活において自由に移動する権利を基本的人権の一部と考え、「移動の権利」が全ての人に平等に保障される交通システムのあり方を、全国の移動サービス団体による実践の中から提言していきます。

また、全国規模でネットワークを組み、行政や公共交通機関など移動自由な社会を目指す多くの方々と協働しながら、各地で発生する移動の問題に真摯に取り組んでいきます。

全国移動ネットホームページより

全国移動ネットでは、全国の自治体と連携しながらデマンド型交通(デマンドバスや乗合タクシーなど)や、住民主体の移動サービスの立ち上げ支援、他にも福祉有償運送運転者講習、今回のような地域支え合い型ドライバー養成研修など、様々な活動をされている地域の移動サービスに精通した方々です。

3.地域で移動を支え合うということ

話は今回の研修に戻り、研修のカリキュラムは様々な内容が盛り込まれていました。
1日目は移動サービスの概論や法令理解、町田市の交通施策などの講義、
2日目は実際に福祉車両を用いた運転実習や介助実習を行い、
最終日の3日目は実際に町田市で住民主体で移動を支援している地域の方々からお話を聞きながら、参加者が今後自分たちの暮らす地域でどのようにドライバーとして活動していくかを話し合うグループワークを実施し、無事研修は終了しました。

実際に住民主体で移動を支援している方々として、昨年度は編集部tasukuが広報を務めている町田市鞍掛台地区で登録不要で地域住民を運ぶ無料巡回バス「くらちゃん号」の運営委員の方もお話しされていました。

くらちゃん号運営委員の方にiconaviでインタビューさせて頂いています。

こうして今年も町田市で20名近くの地域支え合い型ドライバーが誕生し、各地区の高齢者支援センター(包括支援センター)と連携を取りながら、地域での移動支援においてドライバーとして活躍していくことになります。

参加者にお話を聞くと「老後に何か地域に役に立てる活動をしたい」「自分の地域で外出や買い物に困っている方の何か手助けがしたい」という思いで研修に参加された、熱意ある方々です。

超高齢化社会の中、地域の課題を解決するのは他の誰でもない地域で暮らす住民の方々、誰かに押し付けられるわけではなく、支え、支えられる、そのような地域の在るべき姿を実現できるよう、地域支え合い型ドライバーの方々をiconaviは今後も応援していきます!

関連記事

  1. 【生活の中のバリアを考える】〜バリアフリーの視点から〜

  2. 作業療法士が免許センターに!?高齢者の安全運転をサポートする役割とは

  3. 山梨県 移動支援情報

  4. 滋賀県 移動支援情報

  5. 【車椅子お出かけチェックポイント】お出かけ準備・緊急時の対応編

  6. 2023年の人気記事総決算!!〜今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします〜

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。