【生活の中のバリアを考える】〜バリアフリーの視点から〜

東京パラリンピックの開幕が近づくなか、バリアフリーの考え方に対する関心も高まりをみせています。

今回は、バリアフリーの視点から生活の中にあるバリアについて解説していきます。

バリアって何だろう?

歩道を歩く際の段差、ショッピングセンターに入る際の階段、介助犬同伴では入れない飲食店など生活の中には人によってはその活動を遂行するのに障壁となる場面が多々みられます。

現代の社会は、多数を占める人たちにとっての便利さで作られてきました。一方、総人口のわずか7%の割合である、障害を持った方々にとってそれは、生活しにくい環境であり、困りごとを生む「バリア」となっています。

バリアフリーの「バリア」は日本語で”壁”と訳すことができます。バリアフリーは、生活の中でやりづらさや行いづらさを感じること、さまざまな活動を行う際の「バリア」を無くすことと捉えることができます。

バリアにはどのようなものがあるのか?

バリアは大きく4つに分けることができます。

(1)物理的なバリア

車椅子で入れるトイレがない、駅にエレベーターがなくベビーカーでは構内に入れないなど、建物の構造や設計など物理的なものが障壁となることです。

(2)制度的なバリア

障害を持つことで就職活動が制限される、盲導犬など動物同伴では入店できない店舗など、社会のルールや制度によってその活動の機会を奪われてしまう障壁のことです。

(3)文化・情報面でのバリア

メニュー表が写真や絵でしか表示されておらず目が不自由な方が選ぶことができない、火事発生のアナウンスが流れているが聴覚が悪く聞き取れないなど、伝達方法に偏りがあり(音声での案内のみなど)平等に情報を得ることができないといった障壁のことです。

サイゼリアのバリアフリーメニュー表

(4)意識上のバリア

点字ブロックの上に自転車が置かれている、人種による差別により仲間外れにされるなど、障害のある人を受け入れようとしない障壁のことです。

障害の社会モデル

「障害の社会モデル」とは、「障害」は個人の身体機能と社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務である、とする考え方です。

「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、「障害の社会モデル」をすべての人が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていくことで、社会全体の人々の心の在り方を変えていくことが重要であり、またこの「障害の社会モデル」の考え方を反映させ、誰もが安全で快適に移動できるユニバーサルデザインの街づくりを協力に推進していく必要がある、とされています。 国土交通省HPより

これは、病気や怪我が障害であるとする「障害の個人モデル」とは対極にあり、物理的・制度的そして大勢の心の中にバリアがあるとする考え方です。

私たちにできること〜心のバリアフリー〜

デパートの段差を解消する、駅構内にエレベーターを設置するといった物理的制度的なバリアを解消するには多くの制約があり労力も必要です。

では、私たちにできることは何か?

皆さん、「心のバリアフリー」という言葉をご存知でしょうか?

国土交通省では、「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです(「ユニバーサルデザイン2020 行動計画(2017年2 月ユニバーサルデザイン2020 関係閣僚会議決定)」より)。
 そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要です。各人がこの「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは、「ユニバーサルデザイン2020 行動計画」では、以下の3点とされています。

(1)障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。
(2)障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
(3)自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。

とされています。

 障害は社会的な側面から影響するという「障害の社会モデル」をみんなで理解することを推奨しています。私たちは、バリアを感じている人の身になって考え、行動を起こすことが必要です。まず、自分の周りには、どのようなバリアがありバリアを感じている人がいるか、どのようなバリアフリーの工夫があるかに目を向けてみましょう。様々なバリアフリーの工夫に気づいたら、障害のある人などがそれを利用しやすいように配慮しましょう。

https://www.cbr.mlit.go.jp/chugi/barrierfree/m1/m1_03.html

国土交通省 中部地方整備局 中部技術事務所より


以上、生活の中に潜むバリアについて解説していきました。

今後も、移動支援情報やそれにまつわる情報を発信していきますのでお楽しみに!!

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