バリアフリー法とは?
バリアフリー法が令和2年の一部施行に続き、令和3年4月1日に全面施行されました。
バリアフリー法とは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の通称で、高齢者や障害者などが日常生活や社会生活を確保するための移動や施設の利用において、肉体的・精神的な負担が軽減できるよう公共交通機関、道路、公園などの公共施設の整備を行い、それをもって公共の福祉の増進に役立てることを目的とする法律です。
バリアフリー法の歴史
ホテルや病院といった不特定多数の人が出入りする公共的な建築物について、高齢者や障害者などが安心・安全に利用できるよう法律で定められたものが「ハートビル法(高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築促進に関する法律:平成6年6月29日施行)」です。さらに、鉄道やバスなどの公共交通機関を対象としたものが、「交通バリアフリー法(高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律:平成12年11月15日施行)」です。
2つはそれぞれ別々の法律でしたが、これを一体的にしたものが「バリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」です。そして、令和2年6月に一部改正され、令和3年4月に全面改正されました。
改正バリアフリー法の概要
今回の改定ポイントは大きく3つあります。
1、公共交通事業者など施設設置管理者におけるソフト対策の取組強化
2、国民に向けた広報啓発の取組推進
3、バリアフリー基準連合義務の対象拡大
1つ目の「公共交通事業者など施設設備管理者におけるソフト対策の取組強化」は、駅ホームでのスロープやバスの乗降用設備などのハード基準のバリアフリー設備の機能を十分に発揮できるよう①職員等がバリアフリー設備を用いて、役務の提供を行うこと、②バリアフリー設備それ自体を用いて、運行情報の提供や照度の確保などの役務の提供を行うこと、③バリアフリー設備を用いた役務の提供が行われるよう、体制を確保することとされています。
※役務:他人のために行う労務やサービス
2つ目の「国民に向けた広報啓発の取組推進」は、①国、②地方公共団体、③国民、④施設設置管理者の責務等として、「車両等の優先席、車椅子使用者駐車施設等、障害者用トイレ等(高齢者障害者等用施設等)の適正な利用の推進」を追加しました。具体的には、施設設置管理者には、障害者トイレ等を真に必要な方が円滑に利用できるよう、一般利用者に対してポスターの提示等で呼びかけを行うことの努力義務を課しています。また、国民にはこれに応えることを努力義務として課しています。
また、市町村等による「心のバリアフリー」の推進にも言及しています。市町村が定める移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の記載事項に「心のバリアフリー」に関する事項を、さらに基本構想に記載する事業メニューの一つとして心のバリアフリーに関する「教育啓発特定事業」を追加しました。教育啓発特定事業の具体例として、《学校におけるバリアフリー教室の開催》《障害当事者を講師とした住民向けバリアフリー講演会やセミナー開催》《交通事業者等の従業員を対象とした接遇研修の実施》などが行われています。
3つ目の「バリアフリー基準連合義務の対象拡大」は、バリアフリー基準適合義務の対象に公立小中学校やバスターミナルが追加されました。
以上、改正バリアフリー法について解説しました。
今回の改正では、「心のバリアフリー」といった文言から分かるように設備されたハード面を活かすためにソフト面に重きをおいていることが分かります。
いかに環境が整っていても、それを扱う人々の『配慮』や『やさしさ』がなければ真のバリアフリーとは言えないのではないでしょうか。
これからも、移動支援に関わる情報を発信してまいります!
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