今回、バリアフリーマップアプリ「WheeLog!」の運営委員会のメンバーの吉田雄一さんに、WheeLog!の取り組みやその思いについてお話を伺いました。
①WheeLog!とは??
−−−−−吉田さんとWheeLog!のご紹介をお願いします。
こんにちは、一般社団法人WheeLog2020 運営委員会テクニカルチームサブリーダーの吉田です。普段は国立障害者リハビリテーションセンター研究所の技術協力員として、福祉機器関連、ロボット関連の研究を行っています。他にも障害平等研修(DET)の登録ファシリテーターとして、「障害とは?」という課題について、対話を通して解決の行動を考えていくという研修を行っています。
WheeLog!は車椅子ユーザーの体験に基づいたバリアフリー情報を伝えたり、ユーザーが体験したお店や道を共有する、みんなでバリアフリーマップを作るアプリケーションです。最近はコロナウイルスもあり、オンラインイベントを中心に活動しています。私はWheeLog!ではテクニカルチームとしてデータ整形だったりオンラインイベントなどで裏方などをしています。
②WheeLog!参加のきっかけ
−−−−−吉田さんがWheeLog!の活動に参加されたきっかけを教えて下さい。
当時、埼玉県所沢市の市民活動で多目的トイレマップを作る団体に参加しており、オリンピックやパラリンピックがあるということもあり、多目的トイレマップを作るにあたって情報を集めていました。その中で情報をどうやってアップしていくかが課題となり、開発は難しいけどアプリでやれるといいよねと話している中、友人のつてでWheeLog!がリリースされるのを知って、3年ほど前のリリースイベントに申し込みました。
③WheeLog!のメンバー
−−−−−どのようなメンバーで活動しているのでしょうか?
メンバーは事務局2名、運営委員会22名がおり、その中でイベントチーム、地域活性化チーム、テクニカルチーム、海外チーム、総務チーム、広報チームなどで構成されています。障害当事者が4割ほど、医療関係でいうとPTOTSTのリハビリテーション職が多く、他にも会社員や航空業界の方、学校の先生など、幅広く、そして同じ志の方が増えてきています。
④WheeLog!の取り組み
−−−−−WheeLog!では、どのような取り組みが行われているのでしょうか?
「車いすでもあきらめない世界」をミッションとして、アプリ運営、バリアフリー調査、街歩き体験を行っています。他にも省庁関係の事業があり、例えば国土交通省との連携で、飲食店がどうやったらバリアフリーになるか事例を集めたり、観光庁との連携でバリアフリー店舗に車いすユーザーが実際に行って、飲食店ガイドを作ったりしています。
−−−−−アプリがどんどん認知されてきていますが、投稿者数が広がりを見せた理由は何でしょうか?
街歩きを色んな地域で行って、ユーザーを増やしていったというところだと思います。投稿者は健常者やベビーカー、杖を使っている人など様々です。ユーザーの声を共有し届けていくところが大切になるので、SNS機能やコメントを掘り下げていって、道や施設で気になる点があれば省庁に上げていくようにしています。
⑤街歩きイベントについて
−−−−−街歩きイベントを行うにあたって、良かった点、苦労した点はありますか?
良かった点は、気付きがたくさんあることです。実際の車いすユーザーがグループに入るので、学びも多くなります。振り返りの際に気付いたことを付箋に書いてもらうと、紙いっぱいに付箋が埋まります。参加者が気付けて共有でき、更に出会いがそこから生まれる。それが地域で出来ることはとても良いと思います。昨年開催した神奈川県相模原でのイベントは8割の参加者が市民の方々でした。バリアフリーは他人事になりがちだが、街に出ることで自分ごとになる、その時に新しいものが生まれるのだと実感しています。
苦労した点は人集めです。WheeLog!を知らない人に対してのアプローチや、アプリの使い方を覚えてもらう点が大変ですが、大変さを忘れるくらい良いことがたくさんあります!
⑥WheeLog!の今後の展開
−−−−−WheeLog!では、今後どのような取り組みを行っていくのでしょうか?
今までの取り組みは対面でのオフラインイベントが多かったですが、今は繋がりを意識したオンラインでの取り組みも行っています。WheeLog!のサポート会員との繋がりやオンライン飲みも行っていきたいです。
更に超福祉展とのコラボとして、オフラインとオンラインのハイブリッドでの街歩きを行います(記事掲載時にはイベント終了)。相模原、小田原、横浜、仙台などの街歩きを繋げるイベントです。
新型コロナウイルスが落ち着けば街歩きイベントも再開していく予定となっています。
−−−−−最後にメッセージを!!
障害を持つと人との繋がりがなくなりがちです。そこで繋がりを保つための一つのツールとしてWheeLog!があります。繋がりがあることで新しいものが生まれ、出来ることが増えていきます。当事者が当事者とも繋がり、たくさんの人と人が繋がっていきます。このアプリがハブになり、地域がどんどん盛り上がっていくことで、移動の課題が解決していけると思います。もっとリハビリテーションのセラピストにもWheeLog!のことを知ってもらいたいです。WheeLog!を通して様々な方に外出に興味を持ってもらいたいと思います!
WheeLog!のHPはこちら
吉田 雄一さん
国立障害者リハビリテーションセンター研究所 技術協力員
障害平等研修(DET)登録ファシリテーター
18歳の頃ラグビーの試合中の事故により、頸髄損傷。簡易電動車いす使用。高専卒業を経て、在宅生活へ。障害当事者に関わる研究や、障害教育の研修など様々な活動を通し、「すべての人がその人らしく生きられる社会を作る」ことを目指して活動中。
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