住民主体で始まった無料地域巡回バス「くらちゃん号」運営委員さんに聞いてみた

「くらちゃん号」をご存知ですか?

くらちゃん号は、東京都町田市鞍掛台(くらかけだい)地区で運行されている、坂道の多い地域を日中空いているデイサービスのバスを使い、住民に登録制ではなく、無料開放し走らせているという、全国的にも先進的な取り組みです。

プロジェクトメンバーの方々は自治会、市役所、高齢者支援センター、社会福祉協議会、社会福祉法人、市議会議員と幅広く、
そして何よりこのプロジェクトが、地域の住民が主体となり発案・運営されていることが素敵な所です。

くらちゃん号を含めた、町田の移動支援情報に関しては、こちらの記事でも紹介しているので、是非ご覧ください。

今回はそんなくらちゃん号を運営する、委員の方々(写真右から海老澤氏、中村氏)にお話を聞かせて頂きました。

くらちゃん号プロジェクトが始まったきっかけを教えて下さい

-自治会での防災見守りネットワークという取り組みで、高齢者支援センターとのお付き合いがあり、報告は月に一回行っていました。その中で、「買い物を不便にしている方への支援がないだろうか」という声が上がりました。鞍掛台は坂が多くてバス停がありません。鞍掛台の高齢化率は32%(全国平均は2019年9月現在28.4%)、高齢になる程道を歩くのは不便で、車の運転は危険になっていく中で、車がなくなった時に不便な地域です。

-そんな中社会福祉法人との話し合いの場があり、プロジェクトチームが出来ました。それから社協、市議会議員、行政書士、市役所の交通安全課を呼ぶなど、横の繋がりになっていきました。様々な協力があって自治会でもプロジェクトが実現していきました。

-元々この地区は5、60年前自治会で管理して水道を引いていたり、道路は私道が多く自治会で直していました。自分たちで多くのことをやっていた歴史があったんです。

この取り組みに関わるやりがいはどんなところですか?

-私たちはこのプロジェクトを進めていく中で、「住民にどれぐらいニーズがあるのだろうか」という事を知るために、地区の全世帯(約300世帯)にアンケート調査を行いました。その結果、約100世帯が『あれば利用したい』、利用している方々は『週一回助かっている』や『買い物がしづらかったができるようになった』と声を頂けるようになったことがやりがいです。

-プロジェクトの運営には経費がかかっているため、お返しとして地域のお祭りやイベントで自治会等でのボランティアの出店を行っています。そうやって協力し合っていくことで取り組みが継続していければ、協力団体のみんなが嫌な顔せず協力してくれるようになります。他にも福祉事業所の方々の顔を覚えることで将来的に自分たちがその施設を利用するかもしれない。住民それぞれの役割があって、地域の誰かが専門性を持っている。それを地域で活かしていけることも良いことだと思います。

プロジェクトを実現するために苦労した点はありますか?

-運行内容や停留所の位置、運行する曜日や時間を作り上げるのに一年かかりました。さらに運輸局への承認や傷害保険の内容、事故があった際誰が責任を持つか等、お金が取れない分お金に関わる経費関係が難しかったです。

-運輸省に行って掛け合う際も、元々のインフラとルートが被ってはいけなかったり、道路幅の制限があったりと苦労がありましたね。

最後に、地域での移動の悩みを解決したい方々にアドバイスを!

-その地域によって関わってくれる企業、応援してくれる人たちの力が重要となります。土地ごとの課題がはっきりしていかないと課題の解決は難しいのではないかと思います。何がその地域の問題なのか、共有できる仲間や行政の方達との輪を大切にしていって下さい。


海老澤さん、中村さん、ありがとうございました!
お二人からインタビューをさせて頂く代わりに、「くらちゃん号」のロゴマークの宣伝をお願いされましたので、ぜひiconaviでも紹介させて頂きます!

ロゴマーク、カワイイですね!
以上、今回は「くらちゃん号」運営委員の方々へのインタビューでした。

インタビュアー:iconavi editorial office tasuku

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